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マンション名(物件名称)に使用されている地名や駅名の話です。「〇〇武蔵小杉」というマンション、「武蔵小杉」って地名は無いです。駅名ですね。一方で、「〇〇馬事公苑」って、公園名ですよね。また同じ地区にあるのに駅名が付いていたり、町名が付いていたり、駅から相当離れているのに無理くり駅名を使用していたりと、マンション名を決める基準みたいなものってあるのかなと思い、ちょこっと調べてみたら、中々面白かったです。

 

物件の名称の使用基準が、法律で決まっています。

 簡単に言いますと、「物件の名称の使用基準」については、景品表示法の規定によって、自主的に定める業界ルールがあります。詳しくは「不動産公正取引協議会連合会」のHP公正競争規約第19条に記載されています(不動産の表示に関する公正競争規約)。

要は、景品表示法と公正競争規約は、消費者が安心して商品を選ぶことができるように制定されている法律ですから、「物件名」についても消費者が物件を上手に選択できるために、一定の使用基準があるということです。

では、物件名に置いてどんな使用基準があるのでしょうか。先のリンクの中で、主に5点を例に挙げて使用できるとしています。

 

市区町村内の町若しくは字の名称又は地理上の名称

これがまず基本なんですね。やはりマンションが建っているところの実在する地名ですから当然でしょう。でも、町名を使用している物件、意外と多そうで少ないんですよね。よく見てみると、地名かなと思いつつ、ほとんどが駅名に寄せられています。以下が地名の入ったマンションの例です。

『レーベン川崎小田一丁目』

神奈川県川崎市川崎区のマンションです。「小田」という町名があります。僕も詳しくはないのですが、なにか古くからの住宅街であるとか、ブランドにするべき由緒正しき町名なのでしょうか。それとも、最寄りの駅がないのでしょうか。いえいえ、徒歩15分以内に私鉄京急線やJR南武線の駅が数駅もあり、とても便利そうな立地です。

『ヴィークコート瀬田一丁目』

東京都世田谷区瀬田のマンションです。これは理解できます。世田谷ブランドのなかでも「瀬田」は高級住宅街です。「瀬田」という駅はありません。最寄りの駅は東急田園都市線の二子玉川、用賀、東急大井町線の上野毛になります。その中でも特に、「一丁目」は言わずと知れた「二子玉川」を見下ろす著名人や高額納税者が集う高級住宅街です。全国区ではないかもしれませんが、著名人にとっては一種のブランドとしてピンとくる地名かなと思います。「瀬田一丁目」をマンション名につけることに大きな価値を感じます。

以上、この町名という一般的な名称が基本となり、この項目を除いては、以下に記載する「他4点」と記載されています。

 

慣例として用いられている地名又は歴史上の地名

上記の「町名の名称」の項目を除く4点の1つ目です。実際の地名がなくても、誰かが慣例で言いまわしていたり、歴史上伝わっている名称を使用してよいのだと理解しました。歴史上の地名を色々調べた結果、東京都品川区に位置する「御殿山」に気が付きました。現在実際の地名はないのですが、歴史上の地名なんですね。城南五山と称する、「池田山」「御殿山」「島津山」「花房山」「八つ山」の1つで、江戸時代から大名屋敷が立ち並んでいたことが命名の由来だそうです。確かに今は、「御殿山」と聞くとブランドですよね。

『御殿山ハウス』

という新築マンションがありました。HPを開けたとたん、ドーーーーンと、『時代の精鋭、に捧ぐ』という表題に圧倒されました・・・。歴史上の地名を使用したマンションは、由緒正しきブランド化された高級マンションに多いということですね。

最寄りの駅、停留場又は停留所の名称

4点の2つ目。なんといってもこれが一番多いです。やはり駅名はメディア等での露出も多いですし、認知度が抜群に高いからでしょう。「最寄りの駅」なので、徒歩1分でも20分でも、物件から一番近い駅名を使用できると理解しています。

『パークシティ武蔵小杉』

「武蔵小杉」がついたマンションは無数にあります。今やブランドです。武蔵小杉は駅名です。地名ではありません。実際にこのマンションが建っている地名は「小杉町」です。パークシティ小杉町では「?どこ?」といった感じになってしまいますかね?

『ブランズ二子玉川テラス』

こちらも、実際の住所は「玉川」ですが、玉川だと、「どこの川?」と、どこにでもありそうな感じですが、「二子」が付いたとたん、おしゃれなマダムやカフェテラスが脳裏をかすめます(笑)。

以上、最寄りの駅をマンション名につけるのは本当に多いのですが、私の地元で、住所が東京都江東区「亀戸」で、裏手にすぐ「亀戸天神社」があり、最寄りの駅も徒歩10分以内の「亀戸」であるにもかかわらず、マンション名を「〇〇錦糸町」としているマンションがあります。錦糸町の駅でも徒歩10分以上で最寄りではないにもかかわらずです。確かに亀戸と錦糸町の駅としての利便性を比べてしまうと、気持ちはわかりますが、これはちょっと強引なのかなと。それでもこのくらいなら認められる範囲の表示なのでしょうか。売る側は「錦糸町」をつけたかったのでしょうが、住む側としてはどこをとっても「亀戸」なので、僕が住人だったら「〇〇亀戸」のほうが良いかなと思います。なんか背伸びした物件名みたいで・・・。

 

公園、庭園、旧跡その他の施設から直線距離で300メートル以内に所在している場合は、これらの施設の名称

3つ目です。公園や史跡名ですね。でも物件から300メートル以内です。

『レジデンスコート馬事公苑』

これも住所は「世田谷区桜」であり、最寄り駅は、徒歩で20分近い田園都市線の桜新町や、世田谷線の上町なのですが、それよりも、JRAの馬事公苑ブランドをとったということですね。TSUTAYAや馬具ショップがあったり、一つのおしゃれスポット化しているのかなと。

『ライオンズ伏見寺田屋西グランフォート』

史跡をマンション名としてつけている例です。幕末に坂本龍馬が定宿とした京都の「寺田屋」。僕も幕末史は大好きで、思わず調べてみたらやっぱりありました!!HPをみると、「周辺には史跡寺田屋や酒蔵通りなど歴史を彩る名所が生活圏に。」と書かれています。そして建物の外観デザインが、本当に寺田屋のような感じで、びっくりしました。京都の景観にマッチしていますね。さすが、僕が一番好きなライオンズマンション!

面する街道その他の道路の名称(坂名を含む)。

最後の4つ目です。物件が面している通りや坂の名称を用いることができるというものです。

『シティハウス東京八重洲通り』

これ、地図で調べると、東京駅から近く、超一等地の物件なのですが、住所は「東京都中央区新川」うーん・・という感じですよね。最寄り駅が「八丁堀」いや悪くないですよ、悪くはないけど、もう少しインパクトが欲しいかなと・・・。日本橋だと徒歩15分で、ちょっとずれていますし。そこで、一番のブランドとして見るべき「八重洲」→物件が面している「八重洲通り」に着目したのでしょう。

 

まとめ

というわけで、マンション名についている地名や駅名などには、使用基準があります。基本は「町名」、それを除くと、①慣例として用いられている地名や歴史上の地名、②最寄りの駅名、③公園、庭園や史跡名(物件から300m以内)、④面している街道や坂名、の4点です。

マンションについている物件名で、マンションの価値をいかに高めるか、法律で定められている基準の中で、デベロッパーは試行錯誤しながら決めているというお話でした(関連記事)。

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