70㎡、3LDKの間取りを変更した部屋の売却価格は、一般的な相場よりも下がってしまうのでしょうか。

結論、間取り変更による売却時の影響

2LDKへの変更は、エリアや条件が良ければ影響はほぼ無いと考えますが、条件が悪ければ▲100~200万円前後、数%の影響が出る可能性も。

70㎡を1LDKにするなど尖った間取り変更をすれば、本来売れるはずの価格から▲200~500万円、5%〜10%程度(部屋の条件による)の影響を見ておく必要があると考えます。

間取り変更がリセールに影響を受ける理由

では何故、売却価格に影響がでるのでしょうか。

売却時の査定では、一般的に、仲介業者と3ヶ月間の取引契約を結びますが、その3ヶ月間で売り切る価格に影響が出る可能性が加味されます。

『70㎡規模の住戸では3LDKが一般的に人気のため、3ヶ月以内で売り切ることを想定し、相場より2~300万円査定を下げさせていただきました。』

私が、70㎡の2LDKを売却査定してもらったときに言われたことです。

すなわち不動産業者は、70㎡の2LDKを売りづらいことを知っています。

理由は、売りやすく買いやすい「最低限の暮らしに必要な」専有面積に適した部屋数の不文律があるからです。

市場には、その不文律の部屋が多く出回り、とりわけ一次取得者は3LDKであれば70㎡規模、2LDKであれば60㎡規模を探す人が多くなります。

もちろん予算を掛けられるのであれば、誰でも更に広い住まいが欲しいはずですが、私たち庶民は35年ものローンを組んで購入するくらいですから、「3LDK、70㎡、4人家族」が、最低限快適な暮らしを行う上での形に落ち着いたわけです。

家族4人のための代表的な70㎡ 3LDK住戸

つまり、影響する価格は、主に連結式引き戸や壁を設置して70㎡、3LDKへ原状回復するリフォーム費用です。

2LDKから3LDKへの回復であれば、100万円~200万円程度。

1LDKから2部屋分ものリフォームともなると、その倍。更に金額だけでなく色々面倒な印象も残り、売却期間への影響も出そうです。

100万円程度なら、エリア、物件の人気の有無など条件次第では気にせずに購入する人が一定数出てきても、それが数百万となってくると、原状回復のための費用を加算した時に、明らかに市場価格より逸脱してしまうため、成約価格や成約日数に影響を与えてしまうと考えるわけです。

以下、2通りの例を見ていきます。

【例1】70㎡ 3LDK→2LDKへ間取り変更

私の売却経験。

実際の間取りとは異なりますが、以下のようなイメージです。

本来の間取り。

リフォーム後の間取り。

LDで広々暮らしたくてリフォームを試みました。費用は70万円ほどでした。

7年後に売却査定をした際、大手仲介会社の所長さんから言われたのは、先のとおり。

それでも、およそ本来の3LDKの相場で売却できました。業者さんから言わせればチャレンジ価格で。

買主さんは、購入後、家族が増えたときのために、連結引き戸を付けて3LDKにリフォームを希望されていましたが、リフォーム代を値引きして欲しいとの要望はありませんでしたし、人気エリアの希少物件だったので、そもそも値引きに応じるつもりもありませんでした。

以上を踏まえ、広めの2LDKに住みたいという一定数の需要が少なからず取り込める人気エリアや物件であること、もしくは、買主がリフォーム代を負担してでも手に入れたい魅力あるマンションであれば、売却の際の影響度はほとんど無いと考えられます。

特に人気のタワーマンションは、2LDKでも3LDKでも需要は同様に高く、影響は少ないでしょう。最初からゆったりして間取りの良い2LDK住戸の設定やプラン変更の幅が多いのは、元々需要が多いからですし、ワイドスパンなどの間取りが多く空間の使用勝手が幅広くなるため、大型の2LDKとして快適な居住空間を訴求しやすい点もあると思います。

ワイドスパンの快適なタワマンの間取りは、70㎡規模2LDK人気も高い

しかしながら、人気が低いエリアや、簡単に売却するのが難しい物件であれば、先ほどの査定のように、100万円~200万円、数%程度の影響を見ておいた方が良いでしょう。

【例2】70㎡ 3LDK→1LDKへ間取り変更

単身かDINKSなどの世帯構成で、先ほどの間取りを1LDKへ。

2LDKへの変更と異なり、ただ一部屋を少なくするだけでなく、壁の位置なども変更し、寝室を広くしたり、収納を設けたりすると、原状回復への労力や費用が相当かかるため、検討者の印象は良くありません。

たまたま、この広さで探している人がいればと思いますが、こちらが売却したいときに希少なニーズと合致するとは限りません。

上記のような事例で、3LDKであれば十分早期に売れるような価格でもしばらく売れず、価格を落とすケースをいくつか見てきました。

実際に私も、探していた人気エリアの人気物件70㎡の1LDKが、相場なりの価格で売り出されたので、内見したかったのですが、これを2LDKや3LDKへリフォームするとしたら費用が相当かかるはずなので、結局面倒になり、内見を取りやめました。

その後、その物件は、エリアの人気物件としては珍しく時間が少しかかり、価格を下げていました。

「間取りが価格に影響する」と、ある程度言い切れるのは、このように、70㎡の3LDKを1LDKへ大幅変更するようなケースでしょう。

間取りの変更プランが複数あるタワーマンションでさえ、70㎡クラスで3LDK→1LDKをほとんどみたことが無いのは、そういった需要が極めて少ない証ではないでしょうか。

売却するときの注意点

間取り変更した70㎡住戸を売却する際は、少しでも高く早く売れるように、仲介業者さんとよく相談することです。

「3LDKへ間取り変更が可能」、「ウォールドアを設置の場合、○○○万円ほど費用がかかります」「家族3人に広々住みやすい間取り!」など、広告備考欄への表記や、内見者への説明を工夫しましょう。

少しでも高く売るために、わざわざ3LDKに直して売却に出す必要はないと思います。結局、金額で影響を受けるとすれば、リフォーム費用だからです。

結論・最後に

リセールや売却への影響について述べてきましたが、あくまでも永住目的であれば、自身のライフスタイルに見合った間取りへ変更して暮らすことが、住まいの満足度に繋がるはずです。

エリア特性なども踏まえ、1部屋程度の間取り変更であれば、売りやすいマンションである場合、将来的に売却価格への影響度はほどんど無いと考え、リフォームやプラン変更で住まいの満足度を高めることをオススメします。

ただし、1LDKへの大幅な間取り変更は、売却価格や売却期間への悪影響などのリスクが高まることを認識した上で、間取り変更の判断をしましょう。

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