50㎡台の部屋で、家族3人快適に暮らせるでしょうか?

「快適」な条件は人それぞれですし、広ければ広いほど良いですが、快適な生活に最低限必要な空間を以下としています。

・LDはデッドスペースを除く10畳以上

4人が座れるダイニングテーブル1,200mmサイズと、2〜3人用1,500mmサイズ以上のソファに、ローテーブル、テレビ台を置いて生活できるLDの機能性を満たす広さだからです(関連記事)。

・主寝室が、6畳以上の整形された空間で余裕がある収納

夫婦2人のダブルベッドと、ワークできるデスクを最低限置ける広さ。収納の理想は夫婦の衣料が夏物と冬物の裏季節までが収まること。また、6畳という数字だけにとらわれずに、家具を配置するために室内に柱が大きく浸食しない整形された空間であることもマストです(関連記事)。マンションでテレワークは無理!?快適に過ごしやすい寝室選びの要点とは (takenote1101.com)

・子供部屋が、整形された5畳以上の空間と、衣類、雑貨をしまえる収納

同じく大事なポイントで、形が良い5畳以上の空間でないと、子供用のベッドに加え、本棚や勉強机などの必要な家具を置くことができません。大きくなってくれば、おもちゃや本なども増えるので、収納も大事になってきます。

・水回り

住戸面積が小さくなると、比例して水回りの空間が狭くなり、使い勝手も悪くなる傾向がありますが、生活する上で大事な空間になりますので、70㎡の3LDKレベル同等の機能性がほしいところ。例えば、洗面室で夫婦や子供、2人以上が同時に作業をできるスペースや洗面台、浴室が1418サイズ、料理が捗るキッチン天板の幅などです。

・収納

家族3人、特に子供が大きくなれば、趣味のもの、掃除道具、荷物などが増え、収納は多いに越したことがありません。各居室のクローゼットに加え、納戸、物入れなどをできるだけ確保したいですが、限られた専有面積だと、レンタル収納で補完する事も必要になりそうです。

以上を踏まえた上で、まず、住戸スパンが6m前後の一般的な2LDKです。この間取りの専有面積は58.11㎡。

(出展:メイツ東綾瀬 公式HP)

開口部に対する住戸スパンが狭いため、住戸内で長くなってしまった廊下部分、つまりデッドスペースの割合が高くなります。LD10.2畳表記ですが、ドアを入ってキッチンの天板を外れた廊下のような部分も含まれているため、家具を置いて生活できるスペースは実質8.5畳程度。4人掛けのダイニングやソファを十分に置くことができない広さです。ダイニングテーブルとソファどちらかを諦めるか、もしくは両方置いても2人掛けの小さな家具にするか。お世辞にも家族3人で快適とは言えません。

水まわりについても同マンションの3LDKタイプと比較すると窮屈です。洗面台の幅が無く、浴室は1317サイズ。キッチンの天板の幅も同時に複数の料理を満足に進められるほどの余裕がありません。

2LDKサイズになると、窓の枚数が減ることもあります。必要最低限、各居室に窓からの自然光を確保したいです。

次に、ほぼ同じ専有面積、57.58㎡の2LDKです。

(出展:バウス金町 公式HP)

こちらの間取りは、開口部に対し10m近くのワイドスパンであることが特徴です。廊下面積を極小化しています。

3面採光の明るい角住戸で、それぞれの居室に十分過ぎる採光を確保しています。

マンションの顔ともなるLD。50㎡台の2LDK住戸でデッドスペースなしの12畳は圧巻(赤い網掛け表記は床暖房部分を表わしています)。デッドスペースを無くす工夫はドアの引きしろにあります。通常ドアの軌跡分に家具を置くこと、人が生活する空間を充てることはできません。ドアを開ければ家具や人が座っているスペースに干渉してしまうからです。それを解消するために、LDの扉を廊下側に開く仕様にしています。細かい点ですが、少しでも効率的に空間を利用するための工夫です!

主寝室になる洋室(1)は、ほぼ正方形の使い勝手が良い6畳に、大きめのウォークインクローゼット。夫婦の夏物、冬物全てとは行かないまでも多くを収納できる広さです。

子供部屋になる洋室(2)も若干柱の浸食があり目減りしますが、5畳を確保。クローゼットがしっかり2連で、1人では必要最低限の収納を確保しています。

洗面台スペースも幅広で余裕があり、引き戸なので、スペース内にいる人に気を遣わずに出入りできます。浴室サイズが「1418」だったら文句なしでした。

全居室が、共用廊下に面すこと無く外部からのプライバシー性が守られていることもポイント。ただし、廊下部分のつなぎ空間が少ない分、LDと洋室が直で隣り合うなど、住戸内、家族間でのプライバシー性が低いデメリットもあります。

収納面は、それなりの奥行きと広さがあるシューズインクローゼットが便利です。それでもやはり収納を3人分は補えない量だと思います。宅配型のトラックルームなどのサービス利用を考えたいですね。

間取りの柔軟性も秀逸です。将来子どもが巣立って家族が2人になれば、LDと洋室(2)のウォールドアを開けて、17畳の広々したワイドなLDでの生活を楽しむことができます。

以上になります。

広めの2LDKを探したり、リフォームして広い2LDKにすれば良いことですが、誰しも限られた予算内で部屋を探すことが重要になるのは自明です。

同じ広さ、同じ坪単価、同じ価格でも、上記2つの比較のように、空間の利用効率は大きく異なってきます。快適に暮らすには2人が精一杯か。3人でも十分か。

最後に結論です。

どのマンションブランドも、デベロッパーの事業効率性から6m前後のスパン、50㎡台だと前者のような2LDKがほとんど。実際には、限られた条件の中で後者のようなワイドスパンの居住性が高い間取りを積極的に見つけ出すことは困難で、めったに見ることができません。

この部屋が、たまたま北向き大通り沿いのハンデある住環境だったための訴求もあるでしょう。

つまり、一般的に『快適に暮らすには、50㎡台の2LDKはDINKS向け中心』と言えます。

この記事を、少しでも経済的で効率的な2LDKを探すヒントにしていただければと思います(関連記事)。

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