間取りを見る際に押えておきたいことの一つに「スパン」(住戸の幅)があります。住戸の幅は、居住性にどう影響を与えるのでしょうか。ワイドスパン型の間取りの特徴、メリットについても共有します。

一般的な3LDKの間取りのスパン

星の数ほどあるマンションですが、 現代の3LDKタイプの間取りは、以下の2つのタイプにおよそ集約されます。

間取りが集約されてしまう理由は、たいていのデベロッパーがマンションを造ると、住戸スパンが6メートル前後になるからであり、その限られたスパンにおいて、田の字型(縦長、横長)が、最低限の居住性を確保できる住戸の形として落ち着いたからです。

では、何故、どのマンションも6m前後のスパンになってしまうかといえば、6m前後を確保しないと生活をする居住空間、部屋の配置が難しくなる一方、居住性を高めるために、6.5m、7mとスパンを広げれば一戸当たりのコスト高になるからです。

極端な話、土地の幅が30メートルあれば、6mだと5戸作れるところを、7mにすると4戸しか作れなくなります。つまり、最低限の居住性を確保した上でマンションの事業効率を高められることが、ほとんどのマンションの間取りが6m前後のスパンに落ち着く所以です。

6mスパン住戸の特徴

スパンの見方ですが、一般的には、住戸の中心であるリビング・ダイニング(以下LD)部分を含んだ開口部(LDが東西南北でも)の幅を計ります。

以下の住戸は73.2㎡の広さ、住戸スパンは6.1mです。

住戸幅である開口部が狭く、長方形の住戸の形がデメリットを生みます。大雑把に言えば、住戸幅1:奥行き2(住戸スパン6m:奥行き12m)の不文律。

開口部が狭いので室内の採光が弱いです。住戸の形が長方形になるので、生活に使用できない廊下部分などのデッドスペースが多くなります。例えば、LD表記12.6畳は、キッチン横の廊下部分(1.5畳程度)が含まれているため、家具を置くなどLDでの生活に使用するスペースは実質11畳程度になります(関連記事)。

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ワイドスパン型住戸の特徴・メリット

6m前後からスパンが広がれば、居住性も比例して高くなります。ワイドスパンとは、文字通り住戸の「幅が広い事」で、7m程度からをワイドスパンと呼ぶことにします。ワイドスパン型の間取りには、以下のようなメリットがあります。

同じ面積でも効率的な空間になる

下図は、専有面積73.6㎡、約8mのワイドスパンです。

大きなポイントは、住戸の形が正方形に近くなることで(住戸スパン8m:奥行き9.6m)、長い廊下部分、つまり生活に使用できないデッドスペースが少なくなること。上記のLD表記14.9畳の中で、キッチン脇のスペースにも家具を置く余裕があり、14.9畳ほぼ全てを生活有効スペースに充てることができています。同じ73㎡住戸でも、先ほどのLD12.6畳(実質11畳)と14.9畳(実質14.9畳)で、空間効率の大きな違いがわかります。(他の居室の広さが異なるなど一概に比較できない部分もあります、あくまで間取りを見るための目安にしてください)。

また、一つ一つの部屋が正方形に近くなるので、長方形の部屋よりも、空間を効率的に利用したベッド、机など家具の配置に優れます。

6メートルスパンは住戸が縦長になるので、浴室や部屋も縦長の配置になりがちですが、ワイドスパンになると、横の配置もできるようになるため、収納スペースや水回りなどの配置が上手く収まりやすくなり、居住スペースを効率的に確保できます。

開口部が広がり明るい住戸に

開口部である窓が広くなることで、室内の採光に優れます。

上の間取りでは、10m超のワイドスパンにより、LD、全ての居室の開口部をバルコニー側に充て、明るい室内空間にしています。暗い共用廊下側の居室を無くしたばかりか、プライバシー性が高い内廊下設計にも貢献しています。

ワイドスパン型のデメリット

一方でデメリットは、コスト負担の増による価格への転嫁です。6mスパンの「田の字型」間取りが、効率よく提供できるのに対し、スパンを多く取ることで戸数を減らし、一戸当りの価格が高くなってしまう理屈です。

私たち庶民が居住性が高い間取りを理解しても、一般的なマンションは、6mスパンの住戸配置が多く、希望の予算や立地の中で、ワイドスパンの間取りを探すのは困難です。何件かマンションを物色すれば、ワイドスパンの間取りを意識して見つけることが困難なことがわかるでしょう。

ワイドスパンの間取りの見つけ方

では、どうやってワイドスパン型の間取りを見つけるか?

現代のマンション事業のようにコストが高騰する前に造られた中古マンションや、規模のメリットが利きにくい小規模マンション、間取りの良さで訴求したい立地にハンデがあるマンションなどから探しやすい傾向があります。ワイドスパン型含め、間取りにこだわったデベロッパーが分譲するマンションからも探しやすいでしょう。

また、タワーマンションは、ワイドスパンの間取り設定にする傾向があります。私がよく見ている江東5区のマンションでも、2021年1月現在分譲されている「ブランズタワー豊洲」「シティタワーズ東京ベイ」、「ブリリアタワー有明ミッドクロス」、「プラウドタワー金町」など、ほとんどのタワーマンションで、居住性が高いワイドスパン型の間取りを採用しています。

最後に

以上、ワイドスパン型の間取りは、面積以上に広々、効率よく家具の配置ができて室内を明るい空間を演出してくれます。マンションを購入する諸条件に、更にワイドスパンの間取りも加えることは難しいと思いますが、居住性を重視する人であれば特に、検討する際の視点のひとつにしていただければと思います。

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