大手マンションブランドだけでなく、ちょっと視野を広げて知らないマンションブランドも選択肢に入れた時、押さえておきたいポイントがあります。

中小デベロッパーの存在と主な特徴

マンション分譲事業を営んでいる会社、デベロッパーは非常に多いです。プラウド○○、パークハウス○○、シティテラス○○など、マンションを購入しようとする人にとって、メジャー7という最大手7社の物件が、よく目にとまると思います。最大手の物件は、一般的にブランドマンションとして確立していて当然人気があります(関連記事)。

一方で、ベンチャーやニッチ、地域に根差したデベロッパーなども数多く存在します(以下、中小デベ)。

中小デベが分譲するマンションの特徴として表れるのは、まず立地です。マンションの価値は何といっても立地。マンション事業は、人気のエリア、便利な駅近、南向きの開放的な立地など、用地取得が大きくものをいいますが、中小デベの資金力、営業力、ネットワークでは、大手のバイイングパワーに勝てません。大手が取得に走らなかった準好立地を中小デベは取得してマンションを建てるケースが圧倒的です。

また、資金力は認知度、ブランド力にも表れます。中小デベは多額の宣伝広告費を投入できません。ですから、購入検討者とのコミュニケーションが限られるので、中小デベのマンションは、購入検討者の目にとまることが少ないと思います。地元住民をターゲットとしている場合はなおさら広域での認知度は低くなり、認知度が高い大手のマンションブランドに検討者の目は行きがちです。

次に、マンションの価値を高めるパッケージ力。街と一体となった開発コンセプトや企画力など、洗練さやスケールも、大手には敵いません。

マンション管理形態についてのノウハウも、長年無数の物件で培ってきた大手に比べて、中小デベの管理運営は、心もとないように感じます。また近年、魅力的な共用施設が充実しているマンションが増えてきていますが、大型案件を扱うことが少ない中小デベ物件については、共用施設というマンションの魅力付けについても見劣りするかもしれません。

主に以上のような、大手と比べた中小デベの特徴を踏まえてみると、中小事業主の弱さが目立ちますが、それは必ずしも大手物件に比べて悪いマンションであるとは限りません。そのハンデを逆手にとって、消費者目線で住みやすいマンションをしっかり作ろうとしている中小デベも存在するからです。それでは、どんな視点をもって良いマンションを見定めれば良いのでしょうか。

良いマンションを選ぶための5つのステップ

中小デベから良いマンションを選ぶための5つのステップを経て、良いマンションを見つけたいです。

① 物件立地をよく吟味する
② 良い間取りの部屋はあるか
③ 設備・仕様は十分なものか
④ 管理形態、共用施設は満足できそうか
⑤ 物件価格は本当に満足できるか

以上の5点は、もちろん中小だけでなく、どんな会社からマンションを選ぶ時も重要なことですが、とくに中小デベから検討するときは、中小のハンデの払拭や、大手と比べて積極的選択する理由など、特に重要な視点だと考えています。

1、物件立地をよく吟味する

良好な住環境、生活利便性を確保できるか、まず何といっても物件の立地です。人気のエリア、駅近、広大な敷地など、誰が考えても住みたい立地は大手が取得に走ります。中小デベが取得する準好立地とは、徒歩10分以内でも、まず駅から遠い立地、中小デベにとっては、よくても駅徒歩10分前後が多いでしょう。

また、街と一体となった再開発ができるような広大な土地は取れないので、比較的駅に近くても、小規模物件しか建てられない限られた敷地や、住環境が良くないなど、大手が敬遠するハンデがある土地です。

そこで、物件が建つ立地、周辺環境についてよく吟味することが重要になります。

駅近が絶対の価値観をもっている人はおそらく選択肢にはのってこないでしょう。

駅からの距離を苦にしない人でも、大手が取得しなかった理由が隠れていないか、立地周辺をよく吟味する必要があります。住戸の前が巨大建築物によって、日当たりや採光、眺望が遮られるような土地柄じゃないか、それは未来においても変化がなさそうか、大通りに面していて騒音や排気ガスが生活の妨げにならないかなどです。

他にも住まいを選ぶ一般的なポイントとして、生活に便利な商業施設が近いか、最低限の交通利便性、人柄が良い、自分に合ってそうな土地柄かなど、もちろん考慮すべきことはあります。

意外と地元に根付いた中小デベしか知らない好立地であるかもしれません。中小デベの人気がなさそうな立地だからと先入観で決めつけず、立地、周辺環境については様々な視点から探ってみましょう。

せっかく選ぶマンションですから、駅から少し離れた立地、人気のない立地であるからこそ、住みやすい住環境が確保できるような立地であるか、これが大前提だと考えています。

2、良い間取りの部屋はあるか

エリアや立地に次いで大事だと考えているポイント。それは、日々の生活に大きな影響を与える間取りです。良い間取りの部屋を提供してくれるか。これは、中小デベの物件を積極的に選択する一つのポイントになりうると思っています。

一般的に、大手デベロッパーは効率的事業として最低限の生活環境を確保したつまらない金太郎飴のように並べた間取りになりがちです。それは大型物件になるほど顕著です。100戸以上の大型物件は、角住戸や一部の住戸を除いて、以下の2つの間取りに集約されてしまうといっても過言でないでしょう。

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しかしながら、ここに中小デベが住みやすさを追求する間取りを提供できる理由、したい理由があります。大手から顧客を引いてくるポイントになるからです。

中小デベの20戸~50戸といった小規模物件であれば、金太郎飴のような住戸を効率的に配置する必要性も薄くなり、であれば、居住性を大事にした間取りで顧客の目を引く販売手法につなげることができます。

また立地について、大手が取得する駅近や南向きの閑静な一等地であれば、間取りが普通でも立地の良さと広告で大抵は売れます。しかしながら、物件立地にハンデがある中小デベは、他で売るための努力を要すため、居住空間の魅力に価値を置いて良い間取りを提供する積極的動機になりうるのです。

ですから、住みやすい間取りについては、大手よりも、意外と中小デベの物件に見つけやすいと感じています。

間取りについては、以下の視点で確認しましょう。
・居室内に柱が侵食していない事
・開口部(住戸幅)がワイドスパンであること(6.4メートル以上)
・面白い間取りであること

(詳細は以下の記事参照)

住みやすそうな面白い間取りを見つけたら、それだけでも大手より選ぶ価値があります。大手と同じような一般的な間取りだったら、一気に購入意欲が冷めてしまいそうですが。

3、室内の設備・仕様は十分なものか

室内の住宅設備や床や壁などの仕様それぞれについては、住宅設備会社、例えばTOTOやINAXのなどからデベロッパーが集中購買をしていると推測でき、そういう意味では、大手のバイイングパワーに比べ費用負担がかさむため、中層デベではコストカットされやすい部分であると考えられます。

価格や立地、間取りと比べると、決定要素の優先順位としては軽く見られがちですが、実際に住んでみると、生活に関する様々な部分が気になってくる大事なことなので、事前によくチェックする必要があります。

ポイントは、水回りなど室内における最低限の生活設備の品質やグレード、床や壁に関する仕様と、自分にとって必要な設備が標準装備されているかをチェックする事です。

品質や仕様が安っぽいと、住み始めてとても気になってしまいます。洗面台やユニットバス、キッチンのグレードや大きさ、洗面室、トイレの床の仕様(タイルかビニールシートか)などを、事前に他の、特に大手物件と見比べて十分満足ができる室内品質になっているか確認しましょう。実際の物件ではなく、モデルルームを見学する場合は、実際の仕様と異なる場合がありますので、オプション設定と標準装備についてよく区別して確認しておきましょう。

以下のような物件カタログ資料に添付されている専有部仕上表も参考にします。

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自分が必要な住宅設備の充実度。例を挙げると、個人的にディスポーザーは必要で食洗器は必要ないのですが、物件によっては両方あったり、どちらかがあったり、どちらもなかったりします。中小デベは必要最低限の住宅設備がカットされていないか、物件カタログと見合わせましょう。

沢山マンションを見て、ありうる設備を理解したうえで、自分にとって必要な設備を事前に洗い出しておくとよいですね。

4、共用施設・管理形態は満足できそうか

小規模物件が多い中小デベは、大手と比べて共用施設面で見劣りします。それでも、最低限の共用施設がそろっているか事前によく調べておきましょう。

また管理形態ですが、中小デベ物件の管理会社は、どのような会社で、どんな関わりをしてくれるか、将来的に管理形態に破綻をきたすことがなさそうか、事前に物件販売主によく確認しておきましょう。もちろん実行主体は住人で形成する管理組合ですが、関わってくれる管理会社について、大手は専用の子会社でしっかり運営されているなど安心できます。

他にも、物件購入後のアフターフォロー体制も万全に越したことはありません。僕は現在最大手のマンションに住んでいますが、このあたりはすぐに対応してくれたり、しっかりしていると感じます。こればかりは購入後の対応いかんなので事前に調べるということは難しいですが、信頼できる会社を選ぶこと、ネットや掲示板、口コミなどで調べられる範囲で把握しておきましょう。

5、物件価格は本当に満足できるか

上記を踏まえてきた中、最後に物件の価格について考えます。中小デベが大手に勝って顧客吸引力を発揮できる要素の一つはなんといっても価格です。購入検討者とコミュニケーションが図れる大きな要素ですから、価格面から中小デベ物件に引き寄せられる検討者が多いと思うので、「価格が安い」という先入観を疑うことを含め、最後に突っ込んで考えてみましょう。

大手の物件は、駅近など立地が良いことで人気が出る、更に住宅設備の品質、重厚感、ブランド価値などを単価、価格に転嫁しやすく、中小デベに比べて価格が高くなることが多いです。

そこで中小デベは、人気がなく低価格で取得できた用地を中心に、価格設定で訴求してきます。

〇〇駅周辺の70㎡相場が5,000万円として、70㎡3LDKタイプ、3,980万円~といったようにです。

ただし、価格が安いことを第一の理由に物件を購入検討することについては、よく考えたいところです。

安いのは上記のように人気がない立地など、理由があってのこと。価格決定基準は需要と供給のバランス、相場で決まるものであり、割安な物件はありません。大手の物件と比較して点数や〇×をつけて比較表でも作ってみましょう。価格の差が理解できた上で、価格の安さを選択基準の上位に位置づけられるのであれば良いと思います。

一方、価格の安さで決めるのであれば、中古物件を選ぶという選択肢もあります。中古であれば、同じ価格帯で、より駅近、より専有面積が広い、大手の物件を選ぶこともできます。

また、リセールバリューを考えた時にも、不十分な立地、人気薄な中小デベの物件は検索にのりにくく、非常に厳しいものがあります。将来的に住まいの流動性を大きくはらんでいる場合は、本当に選択してよいか再考しましょう。

値引き交渉はぜひしたいですね。需要と供給のバランスが、大手物件とは逆に働いている場合が多いですし、非常に高額な取引ですから、物件によっては価格交渉に応じてくれる業者が多いはずです。

最後に

以上、5つのステップを踏まえた上で、価格重視で新築を選びたい人、その物件自体に満足して生涯の住まいにしたい!と思えた人であれば、「選んだ人にとって」お買い得な物件になるはずです。

立地は大手に勝ることはほぼないので、駅から遠くても住環境をよく見て、できれば大手より間取りが住みやすく、室内の設備や仕様も大手と見劣りすることなく、共用施設も最低限必要なものがそろっているか、マンションの管理は生来的に破綻することなく運営できそうか、このあたりをしっかり調べて、そして大手と比較して経済性でも満足できれば、ブランドや大手でなくたって、良いマンションだと思います。

中小デベの物件は、大手と比べたハンデを逆手にとって、消費者に支持されるマンション作りをしている会社も沢山あるので、ひょっとしたら、大手でも名前ばかりの物件より断然住みやすく、割安なお買い得物件が見つかるかもしれません(参考記事)。

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