すマンションの方角、向きについての論点。「本当に南向きが良いのか」についてまとめてみました。

マンションの向きとは

マンション(家)は南向き!と、私たちは刷り込まれています。マンション広告でも、「南向き住戸中心!」のように、売主は私たち消費者に南向きを推してきます。北半球に住んでいるので、「日当たりが家にとって良い事」とされているからです。

マンションの「~向き住戸」の向きとは、リビングダイニング(以下LD)の開口部である窓側が向いている方角を指します。下の部屋は南向きです。

現代のマンション事業によって作られる住戸は、およそこのタイプの間取り、住戸幅が6mスパンで細長い「田の字型」に集約されるのが特徴です(関連記事)。

窓は、LD側と、主寝室や洋室が並ぶ逆側(ほとんどの場合共用廊下側)の4枚程度が一般的になりますが、LD側を「明るく住む」住戸の中心的存在として「~向き」と定義しているわけです。

「向き」の前提を理解した上で、南、西、東向き、それぞれの特徴を簡単にまとめてみました。

南向きの住戸はやっぱり良い!

南向きのメリットは、「1日の中で多くの時間、陽が当たることで、住戸内が明るい事、冬も日中は室内が暖房がいらないほど暖かくなること」です。午前中から夕方まで、いずれかの角度からずっと陽が入ってきます。

逆に夏は暑いかといえば、むしろ西向きのほうが暑くなったりします。

夏場は太陽が高いため、室内への直射に角度がつきます。

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夏場、室内は明るくなりますが、暑くなるかというと、直射が室内奥までは入りにくいため、温室効果のように暑くなるとは言い切れません。そもそも夏は暑いものです。

冬場は太陽が低いため、室内まで陽が入り込むようになります。

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室内が温室効果でポカポカになります。冬でも天気が良い日は、夕方まで暖房いらずで過ごせますし、日中、長時間太陽が部屋に注いでいるので、夜は、室内がしばらく暖かいこともしばしばです。

また、南向きから見た太陽は、東や西からよりも角度が高いため、住戸の前付近に少し高い建物があっても日当たりへの影響は少なくてすみます。東、西向きは、陽が上がっていく、沈んでいく(南向きより低い)角度であるので、そうはいきません。

南向きの主な特徴です。

メリット
・多くの時間、陽が入るので、室内が明るい
・冬は温室効果の暖房いらずで夜までポカポカ
デメリット
・夏場、東向きや北向きよりは室内が暑くなる
・東や西向き住戸よりも価格が高い

この記事で書いている日当たりについては、関東地方近郊に住んでいる、個人の感想であり、地域、部屋の階数、周辺の建物など立地環境にもよりますので、あくまで参考にしてください。

私は、北向きを除いて一通り住みましたが、やはり南向きが好みです。次回マンションを購入するとしても、南向きから検討すると思います。特に南を含む角住戸だったら最高ですね。

西向き

まず日当たりについて以下ご参考までに。


夏至ちかくは、14時頃~17時30分頃まで。
冬至近くは、14時頃~15時30分頃まで。


とはいえ、経験上、11月~1月いっぱいの3か月間くらいの日当たりは、微々たるものです。

また、特徴の一つに「西日」があります。特に夏は強烈です。南向きより室内が暑くなってしまう理由があります。夏の南向きの部屋は暑いと思われがちですが、夏の暑さの要因は方角ではありません。時間です。一般的に、太陽が表層を照らし始めて地球があったまってきた14時~16時ころが、夏場の最大の気温になるといわれています。夏至から少したった真夏の8月などは、その時間帯に、西向きの住戸が真正面から太陽を受け、しかもちょうど良い低角度の直射で住戸奥まで陽があたるため、住戸内の気温が上がってしまうのです。先述のように、冬場は南向き住戸をあっためてくれる太陽が、夏場は同じような角度で西向き住戸を暑くしてしまいます。

冬場は、陽が更に低くなりしっかり直射日光が入ってくる時間が少ないため、それほど暖かくなりません。

簡単ですが、個人的な感想を含んだ西向き住戸の特徴です。


・朝が暗め
(バルコニー前面の環境による反射光次第では明るくなる場合も)
・午後から夕方にかけての日中が明るい
・夏場の夕方が暑い!
・家具が日焼けしやすい
・西日濃いオレンジ色になるのが不快
・東、南向きに比べて価格が相対的に安い
・洗濯物が乾くまで時間がかかる(※)

東向き

東向きの日当たり。


夏至ちかくは、5時30分頃~9時頃まで
冬至近くは、7時30分頃~9時頃まで少し。


11月~1月いっぱいの3か月間は、西向き同様、日当たりは微々たるものです。これも目安です。

朝日は気持ち良いです。夏の朝は、相当早い時間から陽が当たっていますので、朝起きると室内はモワッとします。それでも起床前でカーテンをしていますし、一日の間で一番気温が低い時間帯なので、大きな不快感ではありません。

ただ、夏場の日当たりは、早朝5時過ぎくらいからなので、そんな時間に起きて室内で活動しているわけでもなく、西向きの日当たり時間と比べて正直もったいないとは思います。また冬場は、少しの角度しか陽が当たらないため、日当たりで室内が暖かくなることはないです。一日室内は寒いです。

簡単ですが、僕の感想を含んだ東向きの特徴です。


・朝は明るくて気持ちよい
・西日とは逆に明るくなっていく朝日は快適
・午後は暗め
(バルコニー前面の環境による反射光次第では明るくなる場合も)
・夏場は涼しい
・冬場は寒い
・南向き住戸に比べて価格は安い
・洗濯物は朝早く干せば乾きやすい(※)

(※)洗濯物は、南側が圧倒的に乾きやすいです。東、西は、そもそも日が当たる時間が少ないですから、曇りがちな季節や冬場はハンデがあります。西向きは、日当たりが午後になるため、朝から干しても夕方まで乾きづらい事に加え、西日により衣料の色が焼けそうなのも気になります。東側は、日が当たり始める朝早く干す必要があるのが慌ただしいですが、午前中しっかり日を当てれば夕方を待たずに乾きます。


明るさは「日当たり」と「自然光」

冒頭に示した南向き住戸の良さである「室内が明るい事」「冬も日中は室内が暖房がいらないほど暖かくなること」のうち、後者については、南向きだけの特権です。

他の諸条件に優先して、どうしても「明るさ」と「冬の温かさ」両方とも欲しい、何に優先してでも南向きに住みたい人は、ここで終了です。私もやっぱり南向きが良いと思っています。

もう一方の「部屋の明るさ」=「採光」は、日当たり(直射日光)だけでなく、太陽光を根源とした間接的な明るさ、自然光を取り入れること、つまり、太陽が照らした空や地面などの明るさが、窓一面に広がることで間接的に住戸内に入ってくることも指します。

私は、今のマンションを購入する際、当時住んでいた西向きのリビングの暗さに辟易としていたので、南向き前提で検討をしていました。その際、営業マンに言われたのです。「明るい住戸をお探しなら、採光が良い東向きの高層階や角部屋という選択肢もありますよ。日当たりは犠牲になりますが、価格も安くなります」。

ですから、東向き、西向き住戸でも、明るさを諦める必要はありません。

ただし、間接光中心で住戸内の明るさを保つためには、周辺に高い建物などが無く空が抜けていて、バルコニー前面の土地が日陰を作らないなど、恵まれた環境である必要があります。

南向きであれば、前の土地の建物から日当たりを遮られないために、「高さ制限」があったり、「斜線制限」(陽当たりを考慮した建て方)があったりと、採光のために優遇されている場合が多く、更に南向きの太陽は角度が高いため、少しくらい高い建物が建っていても、日中の日当たり、採光への影響は少なくてすみます。

一方で、西向きや東向きの前の土地は、当該マンションへの眺望や採光などが考慮されないケースが多く、周辺に高い建物がないか、更に将来的に立たないかよく吟味する必要があります。

極端な例で言えば、数キロ先まで高い建物の存在が無い、タワーマンションの北向き、20階などは、窓一面に空からの自然光を取り込めるので、日当たりが無くても、それはもう明るいです!

部屋の明るさについては、住戸の設計や仕様など、他に考慮しておきたい事もあります(関連記事)。

以上、「南向きでなくても住戸の明るさを確保する」視点を踏まえ、南向き以外の住戸を選ぶ理由を考えてみました。

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南向き以外の住戸を積極的に選択する理由

南向き以外の住戸でも積極的に選択できる理由。南向き信仰に縛られず、1度考えたい視点です。

他の条件・選択肢を優先させる

南向きを条件から外せば、エリア、立地、ワンランク上の物件など選択肢が増え、他にも考慮すべき諸条件を優先的に考えることができるかもしれません。

価格

南向きを選ぶ必要性がなければ、東向き、西向き住戸は相対的に割安で購入できる事が多いです。南向きに比べ、条件にもよりますが、東、西向きは割安な価格設定になります。例えば、70㎡3LDK、2階の南向きの住戸が4,000万円だとすれば、同条件で東向きが3,600万円、西向きが3,500万円といった具合です。

角住戸

南向きと同じ価格帯であれば、東や西向きでは角住戸を選べるメリットがあります。

角住戸は、周囲を囲まれた中住戸より当然割高になりますが、南向きの中住戸と同様の価格帯で、東向きの北東角住戸や西向きの北西角住戸を購入できるケースがあります。私も、今のマンションでは、営業マンのすすめにより、南向き中住戸と同等の価格で、東向き北東角住戸を購入することにしました。明るさだけで言えば、南向きの中住戸を凌ぐでしょう(関連記事)。

例えば、南向きの中住戸だと、廊下側は暗い部屋になることが一般的ですが、角住戸を選べば、日当たりは捨てても以下のような全ての部屋が角に面している明るい間取りを選ぶこともできます。

以下は、我が家の本日の寝室。

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LDだけでなく、すべての部屋がめっぽう明るく、住戸全体の明るさにとても満足しています。

眺望

眺望も魅力の1つです。以前私は、同じ70㎡の住戸で、南向きの3階、5,980万円と、東向きの10階、5,980万円で悩んだことがあります。ただし、眺望の条件次第では、南向きと比べて価格などの条件が変わらない場合もあります。

広さ・間取り

日当たりを捨てて、その分、広さや間取りの良い住戸を選ぶこともできます。

間取りについての一考。通常マンションは、南向きの閑静な立地が理想ですから、そのような立地に建ったマンションは、売りやすいです。

言い換えると、物件の環境にハンデがあると、他で売るための努力を要するわけです。東向きや西向きで日当たりが悪いこともその理由の一部です。消費者に「陽が当たらない部屋だ」と感覚的に思われてしまう物件は、何か他に住まいの価値を提供して消費者を引き付けなければなりません。

その答えの1つが間取りです。セールスポイントとして、他の物件と比べた住み心地をアピールしたりと、居住空間の魅力にウェイトを置くわけです。特に西向き住戸は、住戸の幅をワイドスパンにしたり、間取りを面白くしている物件をよく見かけます。日々の楽しい生活ができる部屋の間取り重視であれば、南向きの部屋よりも、西や東の住戸のほうが面白い間取りが見つかるはずです(関連記事)。

向きの「逆」側の日当たりを考慮

一般的な間取りからすると、「向き」の逆側が、主寝室や洋室を設置する共用廊下側になります。

南向き住戸を選べば、逆は北側です。北側は当然日当たりがありません。一方、東、西向きは、逆側が、それぞれ西、東になるので、東、西向き住戸は、「バルコニー側」と「共用廊下側」の両側に陽が当たるメリットにもなりえます。LD側が東であれば、夕方西側の部屋に陽が当たり、LD側が西向きであれば、東の寝室に朝日が当たって目が覚めるというライフスタイルを送ることもできます。私の現在の東向き住戸は、4月~9月くらいに限られますが、寝室側に西日が入ってきて、部屋を開けていると、夕方は暗めの東向きの住戸にもかかわらず住戸全体がとても明るくなり、それが気に入っています。ただし逆側の共用廊下側の前の環境において、日当たりを遮る建物がないなどが条件になります。

ライフスタイル

向きという住戸に対する日当たりの恩恵を考えた時に、人それぞれのライフスタイルによっては、無理して南向きを選ぶ必要がない場合があり、東、西向きのメリットデメリットを考えながらの選択肢も十分にありえます。

私は休日でも朝起きるのが結構早く、朝はコーヒーでも飲みながら新聞を読んで室内でゆっくり楽しんでから午後は出かけたいので、午前中は暗く、午後は室内に陽が当たるような西向きの住戸は私と相性が合いませんでした。逆に例えば、午前中遅くまで寝ていて、午後に起きて室内で過ごし、夜出かけていくようなライフスタイルを持っている人であれば、西向き住戸がしっくりくるかもしれません。外に出るのが大好きで一日中外出しているような人であれば、選択条件としてわざわざ南向き住戸に縛られるのはもったいないです。

最後に

以上、「本当に南向き住戸が良いのか」という論点で、マンション住戸の向きについてまとめてみました。一般的な見方「家は南向き!」に左右されず、人それぞれの価値観の中で、良いマンション選びをしてほしいと思います。

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