2019年の台風19号で首都圏に大きな被害が出てから、水害リスクへの意識が高まっています。

2020年8月28日からは、住宅購入や賃貸などの契約時に、ハザードマップに基づいた水害リスクの説明が義務付けられましたが、私たち自身、住まいを選ぶ際に何を押えておくべきでしょうか?

大きくは、以下3つの視点でまとめてみました。

1、検討エリアのハザードマップを確認する
2、水害に強いマンション、住戸を選ぶ
3、もしもの時に備える

検討エリアのハザードマップを確認する

ハザードマップは信頼度が高いと言われています。これから住まいを構える土地について、水害の観点からしっかり確認をとりましょう。

物件検討以前に自らハザードマップを確認する

物件の検討に入る前に、物件周辺のハザードマップを確認しておきます。

水害リスクに関する説明が義務化されたと言っても、マンションを何度も内見し、購入する気持ちが前のめりになってきた頃に重要事項の説明を受けても、総合的な判断が鈍りそうです。また、販売業者、仲介業者は、販売する物件の立地によっては、積極的に説明してこないかもしれません。

ハザードマップは、自治体によって異なりますが、江東5区では主に、「河川の洪水時」、「大雨による内水氾濫時」、「高潮時」の3種類でした。

江東5区で浸水リスクがほぼ無い町名です。

墨田区:該当無し
江東区:豊洲2、6丁目、有明1~3丁目、辰巳3丁目
足立区:該当無し
葛飾区:高砂1丁目
江戸川区:清新町、臨海町

上記のように、江東5区に住もうとすれば、浸水リスクを避けることは難しいのが実態です。

2020年9月現在、江東5区で分譲中の中では、「シティタワーズ東京ベイ」、「ブリリアタワー有明ミッドクロス」、「バウス西葛西清新町」が安全な立地に建ちます(関連記事)。

気になる津波については、東京直下型マグニチュード8.2の地震が起きた場合でも、東京湾内への津波の高さは最大2.5mと想定され、東京湾内江東区にかかる防波堤の高さを上回らないとされています。港区、品川区などは、津波のハザードマップも公表しています。

ハザードリスクの許容範囲を押える

江東5区のように、浸水リスクが無い場所を探すのが困難な場合、事前にリスクを認識した上で、ある程度の許容範囲をあらかじめ押えておけば、住まいを選べる範囲が広がると思います。

見るべきは、浸水した際の「深度」と「浸水時間」です。

目安としておきたいのが、「深度」は3mまで(1階屋根が埋まる部分)と、浸水時間は3日程度までです。3日程度であれば、ライフラインの断絶による生活への支障は最低限に留まるでしょう。

水害履歴がないかマンション周辺を歩く

ハザードマップだけでなく、過去に浸水実績があるか調べておくことが大切だと思っています。マンション周辺を歩くと水害の碑が建っていたり、ネット上で調べれば、古くは何百年も前からわかるはずです。

気候変動が進む中、今後、未曾有の水害が起きるリスクは当然ありますが、過去に水害の実績がない事は安心材料の1つになるのではないでしょうか。

水害に強いマンション 住戸を選ぶ

エリアに関わらず、水害リスクに対応できるマンションの特徴、選び方も最低限踏まえておく必要があります。

マンションの構造、特徴を捉える

個別住戸への浸水被害を減らすために、住戸が2階以上から設定されているマンションが安心です。エリアによっては、今後、低層階に住戸を充てない物件も増えていくでしょう。

また、マンションでは一括して受電しているシステムが多いため、電気室、もしくは停電時の非常用設備が水害リスクに対応した構造である必要があります。

低層階がエントランスや共用施設に充てられることが多いため、住戸設定が3階以上である事が多いタワーマンションは、住戸への浸水リスクは低いものの、2019年の台風で、武蔵小杉のタワーマンションの地下部分が浸水し、大規模停電の被害を被ったことは記憶に新しいと思います。

江東5区のマンションで例を挙げると、「ブリリアタワー有明ミッドクロス」は、電気室、非常用発電設備とも地下にあるものの、ハザードマップ上は盤石なエリアであるため、ある程度安心であると言えます。また、板状マンションの「キラリスナ」(ルネ南砂町リバーフィール)は、荒川沿いに建ちハザードマップ上はリスクが高いエリアであるものの、電気室を2階に設置するなど、対策が講じられています(関連記事)。

他にも、近年では、各住戸に防災倉庫を設置したり、共用施設に災害ベンダー機(自動販売機)、防災用ベンチ、災害用トイレの設置をするなど、災害全般を想定したマンションが増えてきていますので、新築であれば、モデルルームでしっかり確認しておきましょう。

リスクがあるエリアは、中層階以上を選ぶ

浸水リスクがあるエリアのマンションを選ぶ場合は、ハザードマップ上の浸水深度を見た上で、2~3階以上の住戸を選ぶべきです。

水害リスクの説明が義務化されたことで、浸水リスクが高い立地に建つマンション、特に1階など低層階住戸は、不測の事態の際に売りづらくなり、リセールに及ぼす影響が大きくなることも覚悟しておきましょう。

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安心して住むためにリスクに備える

全ての人が、安心なマンションを選べるわけではありません。どうしても水害リスクが高いエリアで低層階住戸を選ぶ場合については、万が一の備えを万全にしておく必要があります。一方、現時点で安心なエリアやマンションを選んでも、今後、想定を超えた水害に見舞われることもありますから、備えがあるに越したことはありません。

避難先を確保する

地域の小中学校など公共の建物が、洪水緊急避難建物に指定されている場合がります。マンションが近接していれば、低層階住戸を選んだとしても最低限のリスク管理になりえます。

水害から身を守る意識の向上、管理面を考える

非常に大事なことです。日頃の行動や防災グッズの準備を怠らないよう家族で防災に対する意識を高めること。特に、水害を含む災害に関する管理組合の規約、マンション独自の防災対策などを住民ぐるみで協力し合って行っていくことが重要です。先に述べた武蔵小杉のマンションも、昨年の被災以降、住民が一致団結して防災対策に乗り出していると聞きます。

中古マンションを選ぶ際は、防災に対する意識が高いマンションであるか、管理組合の規約、議事録などから窺えるはずなので、仲介業者にしっかり確認を取ってください。

火災保険に水災補償特約を付ける

マンションを購入する際、火災保険に加入する必要があります。

多少なりとも水害リスクがある場合は、火災保険に付着する「水災特約」に必ず加入しましょう。水災補償は、他の特約と比較しても保険料負担が大きいので、加入する際は、デベロッパーや仲介業者に一任せずに、少しでも安く加入できるよう、自分で保険会社を比較検討する事が大切です(関連記事)。

最後に

マンションを選ぶ際の水害リスクへの対応についてまとめてみましたが、災害被害は年々甚大になっています。随時、水害対策における有効な対策、視点を加えていきたいと考えています(関連記事)。

(参考)江東5区ハザードパップ出典一覧

墨田区

江東区

足立区

葛飾区

江戸川区

(2020年9月1日)各5区の公式HPの情報より

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