コロナショックによる首都圏の自粛が5月下旬に解かれた後、江東5区の中古マンション相場を追ってみました。

以下を前提としています。

・自粛後は、2020年6月~8月の3ヶ月間
・自粛前は19年10月~20年3月の半年間
・検索サイト「SUUMO」「ホームズ」にて検索し集計
・駅徒歩10分、築10年以内、60㎡以上の住戸を対象
・物件の所在地は、江東5区(墨田、江東、葛飾、足立、江戸川)
※江東区の湾岸エリア(りんかい線、有楽町線、ゆりかもめ)は除外
・「成約数」は、レインズMarket Informationで確認できた住戸
・複数の駅が徒歩10分以内のマンションについては、徒歩分数が近い駅を最寄とする
・1坪=3.305㎡として価格を算定

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コロナ自粛前の相場(19年10月~20年3月)

自粛期間中の相場(20年4月~5月)

江東5区、各路線の築浅中古マンション相場

3ヶ月間の動向は、件数が少なく成約された物件特性、単価が偏っていますので、あくまでもご参考までに。

主要駅の築浅中古マンション相場、単価順

築浅、駅近の新築在庫が無い都心隣接のエリア、人気路線は、自粛解禁後も、引き続き相場は上昇曲面にありそうです
(路線では東西線、JR総武線、半蔵門線)
(駅では木場、東陽町、両国、住吉、錦糸町、押上など)

新築分譲が活発で比較的単価が低かった常磐線沿線の相場は堅調に推移しています。

東西線を除いて、3件以上成約があるエリアの平均単価は、「綾瀬」以外下がっています。

以下、各路線、各駅について。

JR京葉線

坪単価300万円~340万円で長い間売りに出ている「プラウドシティ越中島」の4物件が成約に至りませんでした。コロナ自粛前より高値で成約されている例も多かった、人気の湾岸エリア(豊洲、有明など)や東西線(木場、東陽町など)と、狭間に位置する越中島で、明暗が分かれた格好です。

プラウドシティ越中島
(2019年竣工)

東京メトロ東西線

木場、東陽町は、自粛前と同様、7~8月に高値の成約が見られました。特に条件が良い住戸の売出しもあった「プラウドタワー木場公園」「シティテラス東陽町」は、坪単価350万円前後の取引も見られ、平均単価を上げました。湾岸エリアの人気の裏で、都心部に近く利便性が高いエリアであること、沿線で駅近の新築が皆無であることも堅調な要因でしょうか。西葛西は、在庫に対する成約数が圧倒的に少ない状況で苦戦しましたが、一方、葛西は全ての在庫が成約になり取引は活発でした。

プラウドタワー木場公園
(2017年竣工)

都営地下鉄新宿線

新築分譲、「プラウドタワー亀戸クロス」の販売が好調で、エリアに期待感が強まる中、西大島・亀戸エリアは、引き続き相場を維持していると言えそうです。船堀が大きく単価を伸ばしているのは、駅徒歩3分の人気物件「ザ・パークハウス船堀」が高単価で成約されたためで、昨年から比較的上昇傾向の局面に入っていると考えています。一之江は、西葛西と同じく同条件のマンションの動きは低調で在庫が嵩んでいます。

ザ・パークハウス船堀
(2016年竣工)

JR総武線

両国は、対象物件数が少なく、売り出されれば、周辺エリアよりも高いリセールで成約されていましたが、この期間に成約された「ザ・ライオンズ両国」は、チャレンジ価格とも思われた高値で成約されており、エリアの人気が大きく上昇している事を証明しました。新小岩は、「アデニウム新小岩」だけで5件の成約が確認できましたが、立地の割に比較的単価が低いこと、「シティテラス新小岩」への買い替え需要などが影響しているのではと推測します。

ザ・ライオンズ両国
(2012年竣工)

東京メトロ半蔵門線

自粛に入り、成約が見られなかった清澄白河でしたが、「パークハウス清澄白河タワー」が4件成約に至りました。まもなく築10年が経つことから、単価は少し下がった感があります。特筆すべきは押上です。チャレンジ価格で売り出されていた「パークホームズ押上ザレジデンス」が1年半かけて成約に至りました。この数年間で押上の人気は大きく上昇しています。

パークホームズ押上ザレジデンス
(2016年竣工)

都営地下鉄浅草線

浅草線の駅を最寄としたマンションの成約は確認できませんでした。

都営地下鉄大江戸線

それぞれ、JR総武線、東西線、新宿線、半蔵門銭線、浅草線、各同駅の相場を示してあります(両国は、JRの駅と場所が異なります)。

東武鉄道各線

東京スカイツリーは、押上と同条件で見ています。曳舟は、「ブランズ曳舟」3件の成約が確認できました。自粛前、駅前の「マークフロントタワー曳舟」が大きく跳ねるなど平均単価をかなり上げましたが、若干相場を戻しました。自粛前、新築に引っ張られて築浅の相場が上昇していた北千住ですが、4月から対象物件の成約が見られません。

ブランズ曳舟
(2014年竣工)

JR常磐線

綾瀬、北綾瀬、亀有は、平均単価はアップしているものの、新築が多く分譲している中、件数、単価共に、もう少し活発な取引を期待したいところでした。北綾瀬は、駅周辺やホームの整備が進みましたが、対象物件の成約が確認できず苦戦しています。金町エリアは再開発が進み、住友と野村の新築分譲が好調に推移する中、明らかに中古物件も上昇しており、今が買い時だと思っています。

京成電鉄各線

マンション市場は元気が無い路線です。唯一市場が大きかった千住大橋も成約が1件に留まりました。再開発の目玉として分譲を予定している住友不動産のタワーマンションがリリースされれば、売買は再び活発化されるでしょう。沿線マンション市場の活性化には、交通の要所である青砥を中心に、元々風光明媚な立石、高砂界隈の再開発によって街並みが整備されることが鍵だと思っています。

つくばエクスプレス

対象マンションの成約は確認できませんでした。

北総線

対象マンションの成約は確認できませんでした。

日暮里・舎人ライナー

足立小台で4件の成約がありましたが、相場はほぼ維持し、新築時からのリセールは大きく上昇しています。

最後に

簡単ではありますが、以上です。一部の人気のエリア、条件の良い物件は、コロナ前と変わらず、むしろ高くても買われる傾向があると思えた3ヶ月間でした。今後も、取引の特徴は若干変わってくるでしょう。

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