コロナショックによる自粛期間が5月下旬に解かれた後、分譲マンションのモデルルームが再開され、中古物件の売出しも増えました。江東区湾岸エリアでは、自粛の反動や「有明ガーデン」のオープンもあり、6月は一部物件が活況だった模様ですが、湾岸エリアを除く江東5区の解禁後1ヶ月間の動きをまとめてみました。
※江東区湾岸エリアは除きます。

(関連記事:コロナショック前夜の動向)

(関連記事:自粛期間中の動向)

自粛明け 沿線別の成約件数

この記事は、以下を前提としています。

・検索サイト「SUUMO」にて検索し集計
・駅徒歩10分、築10年以内、60㎡以上の住戸を対象
・物件の所在地は、江東5区(墨田、江東、葛飾、足立、江戸川)
※江東区の湾岸エリア(りんかい線、有楽町線、ゆりかもめ)は除外
・「売出数」は、2020年6月1日時点での売り出し住戸と、2020年6月1日~2020年6月30日に売り出された住戸の合計数です
・「成約数」は、レインズMarket Informationで確認できた住戸です
・複数の駅が徒歩10分以内のマンションについては、徒歩分数が近い駅を最寄とします
・1坪=3.305㎡として価格を算定

4月、5月と比較して、成約件数は少し戻ったようです。

沿線別では、自粛期間中の傾向から主だった変化は無いようでした。

JR京葉線沿線

東京メトロ東西線

都営新宿線

都営大江戸線

都営浅草線

東京メトロ半蔵門線

東武鉄道 各沿線

JR総武線

京成電鉄 各沿線

北総鉄道

JR常磐線

つくばエクスプレス

日暮里・舎人ライナー

江東区、墨田区の人気エリアでは需要を維持している一方、元々それほど活発でなかった、足立、葛飾エリアは、4月以降ほとんど動いていません。1ヶ月間の限られた成約件数のため、坪単価、価格は参考までに。

自粛明け、好調だったエリア

以下は、自粛が開けて目立った動きが見られた主なエリアです。

門前仲町、木場、西大島、曳舟、新小岩、金町

人気の門前仲町で、希少な駅近の築浅「リリーゼ門前仲町」と、木場駅徒歩3分の「パークホームズ木場クリアテラス」が弱気な価格で売り出されましたが、SUUMO掲載のち即成約に至ったことから、深川エリアの需要は引き続き旺盛であり、現状では、コロナ以前の相場観でも十分売買できることが窺えました。

6月17日に「東京ミズマチ」が一部開業したスカイツリータウン周辺エリア。浅草―押上―曳舟の新しく整備された街の人気はますます高まっています。コロナショック前に記録した曳舟のリセールバリューの高さには驚きましたが、自粛解禁後も「ブランズ曳舟」の2部屋がこの価格で成約され、曳舟の人気を裏付けました。

「東京ミズマチ」が一部開業した押上界隈

築浅の駅近物件が豊富な新小岩ですが、「ブランズ新小岩」「アデニウム新小岩」の価格が下がってきた自粛期間以降、成約が一気に進みました。この価格での購入が判断されたのは、新築分譲予定「シティテラス新小岩」の予定価格が漏れはじめてきたから?でしょうか。

金町は、自粛期間中から安定して成約が確認でき、単価も上げてきました。相場より人気が上回っている状況と言えます。現在分譲中の「シティテラス金町」も価格を上げてきている中、大手4社で再開発が進む金町は、今後ますますファミリー層に人気のエリアになっていくはずです。

再開発が進む金町エリア

自粛開けでも重かったエリア

コロナ自粛前は堅調に推移していた、清澄白河、東陽町、千住大橋、北千住、亀有、平井は、自粛明けも勢いが戻っていません。

錦糸町は、駅近の人気物件がほぼ捌けてしまった一服感でしょうか。

好調だった深川エリアで、清澄白河が急に止まってしまったのは、昨年まで取引が活発だった「ザ・パークハウス清澄白河タワー」の売却が進まなかったからです。築10年目に入り、室内が痛み始めた頃にありながら、価格の高止まりで検討者の触手が重くなったのかもしれません。

高値で成約されていた東陽町も、「シティテラス東陽町」「ザ・パークハウス東陽町翠賓閣」など、新築分譲時より高い価格で売り出している物件、部屋が多く残っており、成約は1件に留まりました。

自粛前から市場が重かった、一之江、西葛西、葛西は、この間もほとんど取引きが見られず、売り出し在庫が嵩張ってきました。早期の売却を見込んだ売り出しが増えれば、いち早く相場を下げ始める懸念を孕んだエリアと言えます。

青砥は、半年前から対象物件の成約が確認できず苦戦が続いています。

ただし、そもそも、葛飾、足立、江戸川の一部エリアは、駅徒歩10分以上で戸建の需要も多い土地柄もあるでしょうから、あくまで、築浅、駅近のマンション相場についての言及に留めておきます。

総評・今後の江東5区の動向

以上、自粛期間開けの動向を見てきましたが、特に、このような閉鎖的な時代では、賑やかでエンタメ性あふれる、将来性あるエリアにますます人が集まりそうな気配です。

湾岸を除く江東5区では、都心隣接の深川エリア(門前仲町、清澄白河)、スカイツリータウンエリア(押上、曳舟)、副都心エリア(錦糸町、亀戸)に加え、これからな大規模再開発で街が大きく変わろうとしている、金町、小岩あたりが、引き続き、注目エリアとなってきます。

上記のエリアでは、物件特性を見た上ではありますが、売る時は少し強気で、買う時は、探している物件が売り出されれば、若干の高値でも、もしくは少し割安だと思えれば迷わず買いでしょう。

最後に

6月は多くの部屋が売り出されましたが、7月に入って少し落ち着いてきた感があります。

コロナウィルスの第2破の懸念も高まっている中、今後の相場は予想しずらいですが、だからこそ今は特に、「良い物件」「良い条件の部屋」、できれば「人気のエリア」で探し続けることの重要性を感じています。

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